外壁塗装業界では「メンテナンスフリー」という言葉を最近よく目にします。

確かにタイル外壁や日本瓦の屋根などは素材自体を塗装する必要がないため、

塗り替えリフォームも発生しないという意味ではメンテナンスフリーに近い存在です。

しかし、注意しておかなければならないのは「塗り替えが不要」というだけで、

「メンテナンス不要」ではないということです。

タイル外壁であれば欠けたタイルの交換やタイルが浮いてしまった箇所のモルタル補修などが発生しますし、

日本瓦の屋根であれば屋根下地の防水シートの点検や欠けた瓦の交換が必要になります。

もしこれらの補修を怠ればどんなに丈夫な無機タイルや日本瓦でも

浮きや欠けが生じた部分が隙間となって雨水が入り込み、雨漏りや躯体の強度低下を引き起こします。

リフォームにおいては基本的に、「メンテナンスフリーになる塗料や建材は存在しない」と考えておくことをおすすめします。


「メンテナンスフリー」は悪徳業者の手口に使われやすい

「面倒な家のメンテナンスが今後永遠に必要なくなる」と言われれば誰でも期待してしまうものです。

悪徳業者はこの心理を利用して「メンテナンスフリーになりますよ」などと言って

商品や工法を勧めてくることがありますが、決して信用してはいけません。

大抵は他と効果が変わらないか低品質な商品をメンテナンスフリーと称して売っているだけに過ぎず、

悪質な業者になるとさらに相場以上の金額を上乗せしてきます。

そして「今回の工事費用は高くなりますが、メンテナンスフリーになれば今後のお手入れがなくなって結果的にお得です」

などといってメンテナンスフリーの利点を強調してくるでしょう。

建物の寿命を延ばすためには、一回の工事品質を守ること以上に工事後にいかにメンテナンスを継続できるかが重要です

そのため優良業者はアフターメンテナンスを必ず行って、

塗装の異変や経年劣化の兆候が見つかればすぐに知らせて被害が少ないうちに早急に対応してくれます。

もし「メンテナンスフリー」をあからさまに強調するリフォーム会社であれば、

アフターメンテナンスを度外視してとにかく契約を取ろうと必死になっている利益優先の業者である可能性かもしれませんので

しっかりと事前に「メンテナンスフリー」とは具体的にどの内容を指すのか確認しておく必要があります。