外壁塗装において、塗料選びは施工費用や建物の耐久性に関わる非常に重要な工程です。
今回は、数ある塗料のなかでも人気を呼んでいるシリコン塗料を中心に紹介します。
塗料に関する知識をしっかり持ち、業者が提案する塗料が適切かどうか判断できるようにしておくと安心だと思います。

ぜひお役に立てればと思います。

シリコン塗料とは

シリコン塗料の正式名称はアクリルシリコンといい、ベースとなるアクリルにシリコンを加えた塗料のことです。
シリコン塗料の主な特徴を下記に紹介します。

シリコン塗料の種類

シリコン塗料は、水性1液型、溶剤1液型、溶剤2液型の3種類に大きく分けられます。
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種類のうち溶剤1液型と溶剤2液型は、油性です。

1液型と2液型とではグレードに違いがあり、2液型の方が優れた塗料となります。
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液型の塗料は価格が高い分、耐久性に優れ、スレート板や鉄部、金属などより広い箇所に使用できます。

水性塗料と油性塗料の違い

外壁塗装では、塗装前に塗料を液体で溶かして使用します。
塗装後の乾燥で液体が蒸発し、塗料が密着する仕組みです。

水で溶かすタイプが水性塗料、溶剤で溶かすタイプが油性塗料です。
油性塗料は、溶剤塗料とも呼ばれます。
油性塗料の方が耐久性・密着性・防汚性など機能的に優れていますが、価格が高く臭いが強いデメリットもあります。

シリコン塗料のシェア率

戸建て住宅の塗り替えのうち、シリコン塗料のシェア率は約70%にのぼります。
価格と耐久性のバランスが良く、コストパフォーマンスが高いシリコン塗料は、現在主流となっている塗料です。

シリコン塗料の耐用年数

シリコン塗料の耐用年数は、約1015年です。
ただし、建物の立地や塗装箇所、塗料の種類によって変動します。


シリコン塗料のメリット・デメリット

シリコン塗料のメリットとデメリットについてみていきましょう。

メリット

・コストパフォーマンスが良い

他の塗料と比べ、低価格ながら耐久性に優れていることが、シリコン塗料最大のメリットです。
「アクリル塗料やウレタン塗料が持つ耐久性では不満だが、フッ素塗料となると費用が高すぎる」
という方に人気なのです。

・塗膜が比較的汚れにくい

シリコン塗料の塗膜は撥水性に優れているため、雨水に含まれた汚れや泥、ほこりを弾いてくれます。
塗膜が固く低電圧性であることも、汚れにくい理由です。
汚れが付着しても、シリコン塗料は防汚性に優れているため簡単に落とすことができます。

・耐熱性が高い

600℃に耐えられるシリコン塗料は、暑い地域でも安心して使用できます。

・艶(つや)があり美しい仕上がりになる

シリコン塗料は他の塗料と比較して光沢保持率が高く、きれいな塗膜を長期間維持することができます。

・塗料の種類が多い

シリコン塗料は種類が多くあるため、「防汚性を重視したい」「防カビ性を重視したい」など
さまざまな要望や環境に合ったタイプを選ぶことができます。

デメリット

・ひび割れが起こりやすい

シリコン塗料は約10年で塗膜が固くなり、ひび割れが起こりやすくなります。
特に地震などで建物が振動することがあれば、ひび割れする可能性がより高くなります。

・重ね塗りに向いていない

シリコン塗料の表面は固く撥水性に優れている分、付着力が弱いです。
重ね塗りする場合は、フィラーやプライマーを塗布するなどの工夫が必要です。
フィラーやプライマーは、上塗り塗料の密着性を高めるための下塗り塗料のことです。

DIYに向いていない

低粘度で顔料が沈殿しにくいシリコン塗料は、施工不良が起こりやすい塗料です。
頻繁にかき混ぜなければいけないなど、気を配るポイントが多いため、DIYには向いていません

・密着性に劣る(水性1液型)

水性1液型のシリコン塗料は使いやすい反面、密着性に劣ります。
溶剤2液型の場合、硬化剤を混ぜれば密着性を高めることができます。
ただし、硬化剤を混ぜると作業時間が限られるため、扱う業者は多くありません。
現在の主流は、耐久性が高く扱いやすい溶剤1液型です。

何の塗料を選ぶにしても、メリットデメリットを理解しておくことが大切です。
デメリットをしっかりと理解しておくと、後々の対応がスムーズにできると思います。